コラム
F1ブラジルGP決勝2
今回のF1ブラジルGP決勝は日本人レーサーである角田くんにとっては悔しい結果となったのは、先日も述べた通りです。
しかし、その裏でとても感動的な光景が広がっていたことには触れずにはおれません。
「アルピーヌ」です。
このチームの始まりは、純フランスチームをという思いから、フランスの巨人「ルノー」の肝いりで始まったプロジェクト。政府も関係していたんじゃないかなぁ。
2010年代前半はルノー全盛の時代でした。当時ワークスチームだった「レッドブル」でセバスチャン・ベッテル選手が4連覇を果たしたあの姿は、ホンダが撤退してしまって、寂しい思いをしていた日本人からすると羨ましさを感じずにはおれない時代でした。
その後ハイブリッド時代に入り、メルセデスが全盛となり、今はルノーと決別したレッドブルがホンダと手を組んでF1界を席巻しているわけですが、そんななか一貫して低空飛行を続けている「ルノー」チームが参加のブランドである「アルピーヌ」の名前を関して誕生したチームです。
そんな純フランスを掲げて頑張ってきた「アルピーヌ」ですが、今年は特にエンジンの調子も悪く、マシンの開発の方向性も見失った感があり、低迷の極みでした。ブラジルGPが始まる前まではコンストラクターで10チーム中9位。ついには自前のエンジンをあきらめて再来年からの新しいフォーマットではメルセデスエンジンを搭載することが決まっています。
現在アルピーヌのドライバーは、エステバン・オコン選手と、かつて角田くんのチームメイトだったピエール・ガスリー選手です。二人ともフランス人で、なんとお互いの実家が車で20分くらいの距離という幼馴染です。ともに1996年生まれの28歳。小さい頃からお互い切磋琢磨していましたが、いろいろあって(詳細はこちら)、2023年シーズンからガスリー選手がアルピーヌに移籍しオコン選手とチームメイトになることが決まった時にも、こんな二人がうまくやっていけるのか?と話題になったものです。
現在アルピーヌはなかなかうまくいっておらず、そういう状況も後押ししたのか、オコン選手は来年からほかのチーム(ハース;代表は日本人の小松さん!)に移籍することが決まっています。
これまでも二人が一緒に活動するシーンでもあまり中よさそうにする姿を見ることはあまりなく、あー、この二人はずっと仲良く過ごすことは難しいのかなぁと思ったりしていました。
ところが!!!
先日のF1ブラジルGPではオコン選手が2位、ガスリー選手が3位となんとダブル表彰台を獲得!展開の妙に恵まれた感はありますが、たぶん初めて二人が同時に表彰台に上がったのではないかと思います。
そして、レース終了後。確執がある二人のレース終了後の行動がとても素敵でした。
レースを終了したら1周回ってスタート位置まで戻ってくるのですが、二人はずっと並走したままゆっくりと戻ってきたのです。これまでの確執をすべて水に流したかのように、ゆっくりとパレードラップを並んで走る彼らは、2010年以来凍っていた二人の間の関係性を取り戻すかのように、その時間を楽しんでいるように見えました。
表彰式終了後のインタビューでも、もう仲良しすぎて笑っちゃう。インタビューを受けていたオコン選手が後ろを通っていたガスリー選手を引き寄せて二人で一緒にインタビューを受ける姿は前日までの二人の様子からは想像できないくらい。感動して涙出てきちゃう。
残念ながら今シーズンが終わったら二人は別々の道を歩み始めることになります。しかし、そんなシーズンの終盤になってこのような邂逅があったことは、本当に神様っているんじゃないかと思ってしまいますね。
角田くんとガスリー選手が今でも仲良く過ごしているシーンはいろいろなところで目撃されています。それと同じように、これから別のチームに移っても彼らの友情はもう誰にも奪い去ることはできない強い絆になったんだなと信じています。